障害者雇用率トップ企業はリヒトラブ、雇用者が100人を超える資生堂が6位--『CSR企業総覧』注目データランキング


 とはいえ、企業にとって障害者雇用はまだまだ社会貢献の一環といった意識も根強い。利益は後回しにして、体制を整備している企業も多そうだ。本来、経済利益を追求することが役目である企業に期待されているのは「障害者を戦力として活用し業績を上げること」を考えていくことだ。

ただ、そこまで到達している企業は多くはない。こうした点が難しいことは国も承知している。そこで、法定雇用率を上回れば、障害者雇用調整金や報奨金が支給されるなどの各種制度を整えている。現状では、こうした制度を活用し、少しでも利益を出せる体質をつくっていくことが妥当な目標となるだろう。

障害者雇用を本気で進めようとする企業では、障害者受け入れに際して従来の仕事のやり方を見直すことが多い。障害者でもムリなく仕事ができる仕組みを考えていくことで、結果的に一般社員の仕事の効率化につながるケースも少なくないという。

ほかに、障害者が頑張る姿を見て他の従業員もやる気になるといった精神的な効果もあるようだ。このように障害者雇用を進めることのメリットも少しずつ出始めている。

10年6月に紹介した分析では、「障害者雇用率が高い企業はROEも高い」という結果になった。もちろん因果関係は明らかではなく、もともとROEが高い(=経営に余裕がある)から障害者雇用もうまくいっているという見方もできるが、収益力の高さと障害者雇用率の高さは何らかの関係がありそうだ。

もちろん障害者雇用の推進は決して簡単ではない。しかし、ダイバーシティ経営大賞の応募内容などを見ると障害者雇用に積極的に取り組む企業は年々増えている。障害者、健常者がそれぞれ得意な分野を担当し、トータルで企業の生産性を上げることができれば、障害者を雇うことのメリットがもっと表に出てくるようになるだろう。

先進的企業が障害者雇用と企業業績向上が両立するビジネスモデルを築き始めたとき、日本のダイバーシティは間違いなく次の段階に進化しているはずだ。
(岸本吉浩 =東洋経済オンライン)

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