ソニーが復活するための「2つの条件」 それでも支持する消費者に応えられるか?

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一方、ソニーは2012年のCESで、日本だけで発売されていた「プレイステーション ヴィータ」を展示し、その美しい液晶画面に米国のゲームファンから歓声があがった。ところが、記者会見ではほとんど触れなかった。

ソニー関係者によると、「ゲーム機は“家電”ではない」からだそうだ。しかし、消費者は誰一人、そうは思っていない。

消費者との真の関係を築く

それでも、ソニーの記者会見に参加するメディア関係者の数は年々増えている。ソニーが発表する製品への「期待」が決して衰えていない証拠だ。

しかし、ソニーが真に復活しない限り、メディアの期待と消費者の評価が持続するとはいえない。はたして、ソニーが全盛期に築いたDNAは残っているのか。ケイン岩谷とスティーブンスは、別々に取材したのに、口をそろえて言った。

「イエス、それがソニーにとってのグッドニュースだ」と。

「才能豊かな人材と、魅力ある技術をたくさん持っている。今はとにかく実行可能で現実的なビジョンが必要だ。ソニーの過去のビジョンは、理想を求め過ぎていて、現実に即していなかった」(ケイン岩谷)

「今回発表した4Kテレビなど、デザイン力は以前のまま。スタイリッシュで、うれしくなる」(スティーブンス)

映画『ジ・インタビュー』の興行収入は、ネット配信の売り上げが1月4日までで3100万ドル(約37億円)を超えた。ロイター通信によると映画館での興行収入は約500万ドル。一連の騒動が話題を呼び、観客動員につながった。制作費は4400万ドルだから、SPEにとっては悪くない結果となった。

しかし、ソニーの名を傷つけるリスクがあるコメディ映画を、それだけの巨額な費用をかけて作る必要があったのかという疑問も残る。ビジネスのコアを定め、縦割り主義の弊害を打破できるかどうか。そして、消費者との真のコミュニケーションを築けるかどうかが、「世界のソニー」復活のカギを握っている。

(文中一部敬称略)

(ジャーナリスト・津山恵子)(ニューヨーク)

※AERA 2015年1月19日号より

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