「日本株は大幅な円安だから上昇継続」でいいのか 1ドル=120円超のドル高円安が示唆すること
これらについてその後の補足をすると、まずエネルギー価格については、原油の国際指標であるWTI原油先物価格が1バレル=110ドル台前半と、高水準ながら落ち着いて推移している。
また、アメリカ債券市場の長短金利差を見ると、5年国債と10年国債の利回りが逆転したため大騒ぎする向きもいるようだが、2年債と10年債の差はまだ逆転していない。また、今後にそれが逆転し、過去と同様にアメリカ経済の後退や株価の下落を知らせる前兆となったとしても、景気悪化や株価下落基調が生じるのは2023年となる。
日米の中小型株は底固くなっている。ただ日本では、先週(3月21~25日)は海外投資家が全体観からの強気転換により、現物大型株を幅広く買った、あるいは指数先物を買い上げて、それが裁定取引を通じて東証1部全般の株価を押し上げたと推察され、むしろ大型株の巻き戻しがいったん生じた。
とはいっても、日本株に対する明るい見解が広がれば、個別銘柄への買い姿勢も強まり、利益成長が期待される小型株へ資金が流入するだろう。
利上げ加速でも、アメリカ経済の回復基調は揺るがず
一方、アメリカの連銀は量的緩和を終了、利上げを開始した。その後、18日にクリストファー・ウォラーFRB(連邦準備制度理事会)理事とジェームズ・ブラード・セントルイス連銀総裁、21日にはジェローム・パウエルFRB議長の発言が報じられた。
各人とも今後の利上げ幅の拡大を示唆する内容ではあったが、「利上げを加速してもアメリカ経済の回復基調は揺るがない」という主旨を述べた。このため株式市場は、かえって景気の先行きに自信を深めたようだ。
さらに、アナリスト予想平均値に基づく1株当たり利益については、日本(東証1部全体)では、25日時点でも向こう12カ月間(2023年3月期に相当)は33.9%増益が予想されている。アメリカのS&P500採用銘柄ベースでは、同じく28.5%増益見通しだ。
ウクライナ情勢を踏まえて中国が今後どう動くかは不透明だが、前回指摘したそれぞれの要因についても、想定に沿った状況であると考える。
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