緊急事態宣言が再び発出されたが、今の政治主導の意思決定ではコロナ危機は克服できない。
1月7日、緊急事態宣言の発出が正式に発表された。ここに至るまでの菅義偉政権の迷走ぶりは、目を覆うばかりである。最後の最後まで菅首相は緊急事態宣言の発出の予定がないと言い張り、テレビ番組では年末年始に感染者数が減ると思ったと発言していた。本人の無理解もさることながら、周囲も何かアドバイスをしなかったのかとすら思いたくなる。
迷走の原因の1つはまさにこの首相とスタッフの問題だが、突き詰めれば「政治主導」の仕組みに埋め込まれた欠陥である。
そしてもう1つは、新型コロナウイルス感染症が、これまで日本の政治が取り組んできた政策課題とは大きく異なり、長期にわたって危機が持続し、難易度が極めて高いという点にある。
では、政治主導の欠陥から見てみたい。民主党政権が本格的に導入した政治主導と「脱官僚」の意思決定では、さまざまに目配りされた官僚主導の意思決定は既得権益の保全であるとして廃された。ここでの問題は、官僚主導の意思決定は多くの場合、当代の定評ある専門家が諮問機関で意見を表明するという手続きと一体であり、これも同時に排除されたことである。政治主導は結果として、バランスの取れた専門家を遠ざけた。
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