Go To トラベル一斉停止の判断が遅れた背景には、首相独自の政治手法がある。
菅義偉政権が発足して3カ月余りが経った。ところが、2020年12月に入るや菅内閣の支持率は急落した。新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかからず、菅首相主導でスタートした「Go To トラベル」事業は年末・年始の全国一斉停止を余儀なくされた。
直近のNHK世論調査(12月11〜13日実施)によると、内閣支持率は前月比14%ポイント減の42.4%、不支持率が同17%ポイント増の36.0%である。支持率の10%ポイント以上の下落は17年7月の安倍晋三内閣(48%→35%の13%ポイント減)以来である。毎日新聞調査(12月12日実施)では、支持率が同17%ポイント減の40%、不支持率は同13%ポイント増の49%となり、菅政権発足後の調査で初めて不支持率が支持率を上回った。
改めて指摘するまでもなく、「Go To トラベル」が東京都を筆頭に北海道、大阪府などで新型コロナ感染の急拡大を招来したと、国民が受け止めているからだ。政府の補助金給付による移動・宿泊促進が感染拡大を招き、さらに医療従事者を困憊(こんぱい)させ医療崩壊の一歩手前まで追い込んだ「Go To トラベル」は、菅氏が経済社会活動再開に不可欠と判断したのである。
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