元特捜部長は現役時代の人脈を駆使、大型事件摘発の道を開いた。
この数年で東京地検特捜部が手がけた大事件といえば、日産自動車元会長のカルロス・ゴーンの特別背任が真っ先に思い浮かぶ。つねに世間の耳目を集める特捜事件の中でも、久方ぶりの大捕物だ。
従来、こうした大事件では、えてして大物ヤメ検弁護士が代理人として登場してきた。が、昨今はそうとは限らない。逮捕されたゴーンが頼んだ弁護団は弘中惇一郎や高野隆たちだった。
またゴーンの元側近として金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪に問われた元日産役員のグレッグ・ケリーには、喜田村洋一がついた。
弘中、喜田村はともに公益社団法人「自由人権協会」の代表理事を務めてきた、いわゆる人権派弁護士の代表格だ。中でも弘中は“無罪請負人”などと持ち上げられる。だが、実際は失敗も少なくない。ゴーンの海外逃亡などはその典型ではないだろうか。
人権派弁護士たちは捜査批判を繰り返し、世論を味方につける。ゴーンについても、逮捕・起訴後の保釈を認めない検察の“人質司法”を強調し、ゴーンの保釈を勝ち取った。そこまではよかったが、当の依頼人がそれを逆手に取って逃げてしまった。面子丸潰れというほかない。
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