「関係者にはたいへん申し訳ない」。三菱重工業は2月、社運を懸け事業化に取り組む小型ジェット航空機「三菱スペースジェット」(MSJ)初号機納入を今年夏から2021年度以降に延期すると発表した。会見で泉澤清次社長は硬い表情を崩さなかった。
08年に事業化を決定してから6度目の延期。当初は13年に納入予定だったため、少なくとも8年以上は遅れることになる。
これまでに投じてきた開発費は8000億円近くに上り、事業化までに1兆円以上かかるのは確実だ。今20年3月期末には過去に計上していたMSJ関連資産1300億円をすべて減損処理し、今期の開発費1400億円と合わせた関連損失は2700億円に膨らむ。好調なガスタービン事業などで稼いだ全社の事業利益はほとんど吹き飛ぶ。
延期の直接原因は、機体の安全性を国が証明する、米国での型式証明取得に必要な最後の試験機が遅れたことだ。20年初めに開発拠点の名古屋から米国へ飛行するはずだったが、まだできていない。
この記事は有料会員限定です。
ログイン(会員の方はこちら)
有料会員登録
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら