2019年8月、三菱電機の男性社員(20代)が自ら命を絶った。男性は同年4月に入社し、兵庫県尼崎市の生産技術センターに配属された新人だった。残されたメモにつづられていたのは、指導員から受けた暴言の数々だ。
「次、同じ質問して答えられんかったら殺すからな」「お前が飛び降りるのにちょうどいい窓あるで、死んどいた方がいいんちゃう?」
この指導員は同年12月、自殺教唆の疑いで書類送検された。遺族の代理人である嶋﨑量弁護士は、「(企業のパワーハラスメント事案が)労働法違反ではなく自殺教唆という刑法犯で送検されるのは、他に類を見ない特殊なケースだ」と話す。
実は亡くなった男性が住んでいた兵庫県三田市内の同社の寮では、3年ほど前にも通信機製作所に勤務していた新入社員(当時25)が自殺している。遺書には上司や先輩から受けた嫌がらせやいじめの内容と、「私は三菱につぶされました」「家族との別れがつらいですが、〇〇(上司の名前)と一緒に働き続けるほうがツライので私は死を選びます」と記されていた。
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