11月発表の決算では多額の損失を計上する会社が出てきた。業績順調な企業も先行きは安心できない。将来リスクを測る多様な切り口で「危うい会社」をリスト化した。
「今回の買収は金額がとんでもなく高く、財務リスクも非常に高い。将来的には会社が破綻するんじゃないかという危機感があった」
日本企業史上最高額となる約6.2兆円を投じ、アイルランドの製薬大手・シャイアーを今年1月に買収した武田薬品工業。同社の創業一族であり、株主団体「武田薬品の将来を考える会」で代表代行を務める武田和久氏は冒頭のように話す。
「考える会」は、昨年12月の臨時株主総会でシャイアー買収が承認されるまで、買収にかたくなに反対し会社側と敵対してきた。今は「買収してしまった以上、統合のことを考えるしかない」(武田氏)と、姿勢を軟化させている。
武田薬品の“足かせ”
だが、武田氏を含め「考える会」の懸念は依然強い。とくに気をもむのが、シャイアー買収のために借り入れた資金に付された「財務制限条項」。同条項では、借り手の財務が一定基準より悪化した場合、貸し手は融資額の早期一括返済を求めることができる。
武田薬品にはめられた“足かせ”は、今年6月に公表された「20-F年次報告書」(米証券取引委員会に提出の書類)と「有価証券報告書」で確認できる。そこでは、最も重い条件として国際協力銀行からの借入金37億ドル(約4000億円)に「2期連続で税引き前利益が赤字にならないこと」と記されている。
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