有料会員限定

「全特」と天下りの板挟み、日本郵便の危うい統治 本当のトップは誰なのか

✎ 1〜 ✎ 8 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 最新
拡大
縮小

かんぽ問題で組織改革が不可避だが、一筋縄ではいきそうにない。

かんぽの不適切営業を受けて、横山社長ではなく、大澤副社長名で局員を鼓舞(2019年6月24日付)

特集「最新! 危うい会社リスト」の他の記事を読む

郵便局員によるかんぽの不適正販売で揺れる日本郵政グループ。問題が公になった今年6月下旬、日本郵便は郵便局を鼓舞する文書を全国に発した(上写真)。文書は、横山邦男社長名ではなく、大澤誠副社長名だった。

日本郵政グループのコーポレート・ガバナンス(企業統治)は複雑で、郵便局の一大事に発した「大澤名」の文書はその表れだ。

最大の特徴は集票力

大澤副社長は「全特」の元会長。全特の元会長が日本郵便の副社長にまで出世したのは大澤氏が初めてだ。全特とは、1953年設立の旧全国特定郵便局長会(現在の全国郵便局長会)のことで、約1.9万人の中小郵便局長が入会している。「全特」の呼称は今も生きており、ホームページでは「全国郵便局長会(全特)」と表記し、年4回刊の広報誌は「広報ZENTOKU」だ。

年4回発行している刊行物の誌名に残る「全特」の呼称

全特は任意団体であり、会則には「郵政事業及び地域社会の発展に寄与するとともに会員の勤務条件の向上を図ること」とある。だが、その最大の特徴はその集票力である。多くの局員は「政治結社だ」と口をそろえる。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
倒産急増か「外食ゾンビ企業」がついに迎える危機
倒産急増か「外食ゾンビ企業」がついに迎える危機
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
伊藤忠が「8時前出社」導入で出生率急上昇のナゼ
伊藤忠が「8時前出社」導入で出生率急上昇のナゼ
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
最新! 危うい会社リスト
虚構だった独自のビジネスモデル
危うい会社7|行き詰まるビジネスモデル
債務超過1000億円、「疑義注記」の最大手
危うい会社6|疑義注記&重要事象
信用調査のプロは危険な兆候を見逃さない
第三者割当増資を悪用
危うい会社5|「アクルーアル」が大きい
危うい会社4|アクティビストに狙われる
本当のトップは誰なのか
トップが会社を追われる日
危うい会社3|トップの信任が急落
3期連続赤字に沈む名門企業
危うい会社2|終わらない連続赤字
プロが教える「危うい会社」の見分け方
危うい会社1|積極投資で資産膨張
最新! 危うい会社リスト
7つの指標で徹底解析
トレンドウォッチAD
  • 新刊
  • ランキング
東洋経済education×ICT
有料会員登録のご案内