ノーベル賞大国の日本の研究力が地盤沈下を起こしている。
旭化成の吉野彰氏のノーベル化学賞受賞が決まり、学術界は祝賀ムードに包まれた。1949年の湯川秀樹博士の初受賞以降、ノーベル賞を受賞した日本出身者は28人となり、日本は堂々のノーベル賞大国だ。ことに、自然科学部門(生理学・医学賞、物理学賞、化学賞の3賞)では2000年以降受賞ラッシュが続いており、吉野氏の受賞でその数は24人に増える。米国に次ぐ堂々の第2位だ。
しかし、日本の研究力は地盤沈下を始めており、その未来に希望を持つ人は少ない。林業に例えるなら、生活に貧して先達が植えた木を伐採するだけで、次世代に向けた植林をおろそかにしているのが今の大学だ。近年の受賞ラッシュは、過去の遺産である。
ノーベル賞の京大
ノーベル賞は国や研究機関の研究力を示す指標の1つに数えられ、受賞者が多いほど研究力は高いと評価される。例えば、研究力のみを指標として世界の大学をランクづけしている上海交通大学の「世界大学学術ランキング」は、卒業生や在籍研究者の受賞者数を、ランキングの指標のひとつとしている。もちろん、出身者のノーベル賞受賞者数と研究力は同値ではない。それを踏まえたうえで、ノーベル賞を指標とした日本の大学の歴史的な研究力を見てみよう。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら