増加の一途をたどるインバウンドは鉄道業界にとっても金のなる木だ。
閑散としていた昼下がり、羽田空港国際線ターミナルの到着ロビーがにわかに混み出した。13時以降、北京、上海、台北などアジア主要都市からの航空便が次々と羽田に着き、降り立った客が到着ロビーから鉄道やバスで都心に向かう。目的地への最適な経路をアドバイスする観光案内所のスタッフにとって、休む間もない時間の始まりだ。
1日868人。2017年度に羽田空港国際線ターミナル内にある観光案内所を訪れた外国人利用者数の平均だ。案内所を運営するのは京浜急行電鉄。羽田空港と品川を結ぶ京急空港線を抱える同社にとり、案内所を訪れる外国人旅行者は大事なお客様である。
案内所のカウンターの前に列をなす外国人旅行者を相手に、3人のコンシェルジュが問い合わせに手際よく対応している。京急線の案内だけが仕事ではない。「目的地によっては、(競合路線の)東京モノレールのほうが便利だとアドバイスすることもある」と、同社の担当者は話す。
「空港からいちばん近くにあるベビー用品店はどこか」「事前に予約した宿よりも便利な場所にホテルはあるか」。外国人旅行者の質問は多岐にわたり、交通案内、乗車券の販売のほか、観光・宿泊に関する相談や予約手配も行う。さらにヤマト運輸と連携して手荷物を宿泊先のホテルに配送する「手ぶら観光サービス」も行っている。まるで便利屋だ。
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