ゼロ食品氾濫が映す、食品表示の後進国ニッポン

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 “過剰”なゼロ表示への葛藤もある。複数の植物油製品に「コレステロール0」と表示するJ−オイルミルズ。コレステロールは動物性油脂には含まれるが、植物性油脂には基本的に含まれない。品質・環境部長の横溝和久氏は「元来ないものをゼロ表示で強調するのは、誤解に付け込むマーケティング手法だという認識はある。できればこんな表示はなくしたい」と胸の内を明かす。

そもそも植物油がコレステロールを含むかなど、各食品の成分を詳しく把握できている消費者は少ないだろう。こうした中、他商品に対して技術的優位性がないにもかかわらず、著しく優良であると誤認を与える表記は景品表示法で禁じられている。農林水産省も、ゼロであることの安全性が科学的根拠に乏しい表示で消費者の誤認を招くことは不適切だ、との見解を発表している。

それでも、消費者庁は沈黙を貫く。「著しく優良と誤認されるか否かは一定の基準で判断する」(表示対策課)とし、これまでゼロ表示への処分はない。今後も「ゼロ表示が増えているという認識はあるが、個別事例の調査をしているかどうかは言えない」(同)と答えるのみ。

食品表示に詳しい群馬大学の高橋久仁子教授は、こうした現状を「メーカーに対して手ぬるい対応。消費者の知識不足に付け込む表示には厳しく対応すべき」と憤る。

栄養成分表示すら任意 先進国と大きな隔たり

ゼロ表示の問題は氷山の一角にすぎない。下表のとおり、日本の食品表示基準は、他国と比べ規制が緩い。


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