「2億円でできる工事なのに、倍の4億円もの見積もりを出してきた。あのまま工事を依頼していたら、大変なことになっていた」
首都圏のあるマンションの管理組合で理事を務めていた西住さん(仮名)は、4年前の騒動を振り返る。当時管理組合では、大規模修繕を行う工事会社の選定について、議論の真っただ中だった。
十数年に一度行われる大規模修繕。屋上防水や外壁塗装といった共用部分の改修など、マンションの資産価値維持には不可欠な工事だ。だが発注者である管理組合は素人集団。そこで登場するのが、修繕工事の計画から業者選定、工事監理まで一手に引き受ける設計コンサルタントだ。
西住さんの管理組合でもコンサル7社から見積もりを取り、他社より200万~300万円ほど安い価格を提示したA社に監理を依頼することとなった。異様に安い金額に疑問を抱きつつも、大規模修繕の実績が豊富だったために、A社を信頼したという。
不透明な業者選定プロセス 工事費「水増し」の実態
だが、西住さんの疑念は徐々に確信へと変わる。工事費の概算見積もりとして、A社が提示した金額は4億円。管理組合が積み立ててきた修繕積立金とほぼ同じ金額だった。念のため別のマンション改修専門工事会社で見積もりを取ると、返ってきた金額は何と半額の2億円。「最初の見積もりは何だったんだ」。西住さんは言葉を失った。
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