繁閑の波が大きい製造業を中心に、無期転換が可能になる前に雇い止めを選ぶケースもある。ある大手製造業の人事部長は、「事務職は原則無期転換する一方、製造現場の有期雇用社員は雇い止めにすることも検討している」と話す。多くの日本のものづくり企業にとって有期雇用社員は景気変動の“調整弁”だった。「無期転換ルール」の開始を控えても、その見方は変わっていない。大学や研究機関でも、同様である。
自動車メーカー
期間工は一律雇い止め 調整弁との見方変えず
「在籍1年目 年収400万円以上可能」「寮完備 無料」「35カ月満了で300万円以上」──。トヨタ自動車の期間従業員募集広告には、威勢のいい言葉が躍る。
トヨタのモデルケースでは1年目(21日勤務、連続2交代制で残業20時間の場合)で月収は27万8250円。2回目、3回目でその額はさらに上がっていく。ただ、期間従業員の雇用期間は最長でも通算2年11カ月となる。
2015年、トヨタは期間従業員のクーリング(空白)期間を、それまでの1カ月から6カ月に変えた。クーリング期間は契約終了後から再雇用までの空白期間だ。改正労働契約法ではこの期間が6カ月以上あると、それ以前の契約期間がリセットされ、通算されない。だが6カ月未満だと、同じ会社で通算5年を超えて契約更新した場合は、本人が希望すれば無期雇用に転換できるようになった。
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