名門・神戸製鋼所による製品の品質データ改ざんは株価の急落を招いただけでなく、株式市場全体を震撼させた。神鋼は資産運用業界に「企業統治の優良企業」と持ち上げられていただけに、投資家の失望は一段と大きい。まさに“神戸製鋼ショック”だ。神鋼株にはインサイダー取引疑惑まで浮上している。
神鋼株は9月中旬まで1300円台半ばで推移していたが、10月16日に一時774円まで下落した。5000億円近くあった時価総額のうち約2000億円が吹き飛んだ。
神鋼株急落の最大の被害者はESG投資家だろう。ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字からなる造語だ。
日本では年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がESG投資の旗振り役となっている。GPIFは、7月に1兆円のESG投資枠を設け、その際にESG銘柄で構成する「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」などを運用指標として選定した。神鋼は同指数の構成銘柄に採用され、企業統治などの充実度は運用開始時点では、7段階で上から2番目の「AA」に評価されていた。
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