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規模で劣る神鋼の苦悩 多角経営でも赤字頻発

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アルミ板材を生産する栃木県の真岡製造所。最初に改ざんが発覚した拠点の1つだった

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今回の不祥事が神戸製鋼所の業績に与える影響はどの程度なのか。足元の業績は悪くない。10月30日に発表した2017年4〜9月期の経常利益は、鋼材市況や中国の建設機械市場の改善により前年同期比3.7倍の457億円、当期純利益は同9.5倍の393億円と急回復した。期初計画も大きく上回った。

ただし通期の予想については経常利益を500億円(前期は191億円の赤字)とし、期初計画から50億円下方修正した。今回のデータ改ざんに関連して、品質管理を適正化することによる歩留まりの悪化や信用低下に伴う受注減などを見込んだためだ。神鋼はそれらのマイナス影響が今期だけで100億円分あると想定している。

さらに当期純利益については「未定」とした。特別損失扱いとなる顧客への補償費用などがまったく見通せないことが理由だ。補償費用が膨らめば、巨額赤字を計上するリスクを抱えている。

粗鋼生産量が小さくコスト高がネック

神鋼は前期まで2期連続の当期純損失に陥っている。世界の粗鋼生産の約半分を占める中国の過剰生産・過剰輸出によって世界的に鋼材市況が低落したことや、16年度下期に原料炭価格が急騰したことが鉄鋼事業のマージンを圧迫。加えて、中国の建機市場の縮小を受け、多額の貸倒引当金や関係会社事業特損を計上したためだ。

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