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問われる「日本品質」 ISO偏重があだに

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高品質が売りだった日本企業だが、近年はその信頼を揺るがす事件が頻発している(撮影:尾形文繁、高橋孫一郎)

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神戸製鋼所では現在、死亡労災事故が相次いでいる。2017年4月にアルミ製品を生産する栃木県の真岡製造所で、工事請負協力会社の従業員(50)が落下事故で死亡した。6月16日には関連会社である神鋼鋼線工業の尾上事業所(兵庫県加古川市)で、社員(26)が高圧力のワイヤロープにはじかれて亡くなっている。

実情を知る関係者はこう語る。「6月16日の事故の主な原因は教育不足と設備の老朽化だ。昔は熟練工が若手を指導していたが、今はそれが少なくなった。事故は経験の少ない若い社員が危険な所に入って起きた」。

14年5月にも同じような原因の死亡労災が発生している。神戸製鉄所棒鋼工場で勤続3年の21歳の社員が設備に挟まれ、13日後に死亡した。これも若い社員が危険な所に入り、被害に遭った。危険な場所に防護さくなどがなかったことが主な要因とみられる。

前出の関係者は「作業者はミスをするという前提で生産現場が構築されておらず、しかも設備投資を怠って古い設備で未熟な作業者が一人で作業をするから事故が起こる」と指摘する。そして「現場の課題を訴えられるような組織風土ではないし、意見を言う人間は排除される傾向にある。そして短期的な利益を求めるために安全は後回しになっている」と訴える。

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