長期にわたって品質データを改ざんしていたずさんな実態が明らかになり、賠償など巨額損失のリスクも浮上。創立100年超の名門は存亡の機に立たされている。
ずさんすぎるガバナンス 堕ちた名門の険しい前途
「金子が私の部屋に来たのは8月30日の16時30分ごろだったと思う。『事業部内において副社長として不正を認識した。ただし、まだ全容はわからない』という一報だった」
データ改ざんを初めて知ったときの状況について、神戸製鋼所の川崎博也会長兼社長はそう振り返った。「金子」とはアルミ・銅事業部門長を務める金子明副社長のこと。川崎氏によれば、金子氏はその30分ぐらい前に同部門を担当する3人の執行役員から報告を受け、自分と同様に「愕然とした」という。
川崎氏が一報を受けてから約40日後の10月8日、神鋼は顧客と契約した仕様に適合しない一部製品に関して、検査証明書のデータ書き換えなどを行い、適合品として出荷していたと公表。対象は過去1年間に出荷されたアルミの板材や押出品、鋳鍛造品、銅製品で、同部門の年間出荷量の約4%(130億円分)に及んだ。
この日の記者会見で梅原尚人副社長は、改ざんに関与したのは「管理職を含めて過去1年間で数十人」とし、「組織ぐるみ」であることを認めた。不正が10年ほど前から続いていたことも示唆した。
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