京都の同志社大学神学部で行っていた「佐藤優氏と考えるキリスト教と現代社会」と題する集中講座(全4回、1回5時間の連続授業)が7月8日に終わった。この講義で私が狙った目的の1つが表現力の強化だ。神学部でもキリスト教の洗礼を受けていない学生が9割いるので、神学と教養の基礎を丁寧に教えた。講義は午後1時10分に始まるが、午前中に映画を上映し、それを講義で取り上げることにした。
第4回は「リーダーシップについて考える」がテーマで、『八甲田山』(東宝、シナノ企画、1977年、監督:森谷司郎)を上映した。原作の新田次郎『八甲田山死の彷徨』(新潮文庫、78年)も事前に配布し、読んでおくように指示した。
映画の筋自体は難しくない。1902(明治35)年1月に日本陸軍第8師団の青森歩兵第5連隊と弘前歩兵第31連隊が、来るべき日露戦争に備えて雪中行軍を行った。弘前から出発した第31連隊37人と東奥日報の従軍記者1人は無事に行軍を終えた。これに対して、青森から出発した210人からなる第5連隊は、199人が死亡した。第31連隊は少数精鋭で、しかも現地の事情に通暁した案内人を雇って行軍を行った。これに対して第5連隊は大所帯で、中隊長の神田大尉の指揮下で行軍するはずが、同行した大隊長の山田少佐も指揮をするために混乱が生じ、しかも案内人を雇わずに雪山を彷徨することになり、大きな犠牲をもたらした。
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