有料会員限定

総合的な知の技法「表現法」を学ぶ(10) 「型」を習得してこそ「型破り」が生まれる

✎ 1〜 ✎ 122 ✎ 123 ✎ 124 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小

プレゼンテーションのテキストの中には「とにかく勇気を持って話してみる」といったもの、また文章読本では「とにかく書いてみる」といったことを勧めるものがある。だが、こういう方法論が欠如した実践をいくら積んでも、表現力は強化されない。

筆者は職業作家であるので、表現のプロだ。特に凝った文体で表現するわけではないが、独自の文体があるし、読者が退屈しないような表現をするように努力している。筆者の表現法は、外務省時代に身に付いた。外交官の経験を持つ人はそれほど多くないが、実は外交官は表現に関して徹底した訓練を受ける。それは、意思疎通のほとんどを公電(公務で用いる電報)で行うからだ。この訓練の実態については後で述べる。ここではまず、表現における「型」の重要性について検討する。

教育学者でコミュニケーション論の専門家でもある齋藤孝氏が「型」の重要性についてこう述べている。

〈暗黙知や身体知を共有し、それを明確な形式知にしていくプロセスは、まさに新しい学力が求める実践的な知の在り方である。才能のある人間が直感的にとらえている知を明確に言語化することによって、多くの人が共有できるようにする。あるいは相撲の本質を理解し実践できる横綱の暗黙知を、「型」として共有できるようにすることも、暗黙知を形式知化するプロセスの一種である。例えば相撲の四股がその型であろう。

関連記事
トピックボードAD