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総合的な知の技法「表現法」を学ぶ(11) 誰に読ませるかを考え表現を変える

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外務省には「公電文学」と呼ばれる表現術がある。公電とは、公務で用いる電報のことだ。通常は東京の外務本省と、諸外国に置かれたわが国の大使館、総領事館、政府代表部(ニューヨーク、ジュネーブ、ウィーンにある。国際機関において日本政府を代表する組織)で公電のやり取りがなされる。情報の内容に応じて、平(無指定)、取扱注意、秘、極秘、極秘限定配布に分けられる。

平の情報は外部に提供しても構わない。取扱注意の情報は、秘密指定はされていないが、外部に対して提供することは認められていない。記事にしないことを前提に外務省が記者らに行うバックグラウンドブリーフィングの記録や、会員制の講演会での記録などに取扱注意の指定がなされる。

秘密指定には、秘と極秘がある。相手政府とのやり取り、秘密裏に入手した情報、本省からの訓令、大使からの意見具申などはいずれも秘か、極秘の指定がなされる。

平、取扱注意、秘、極秘の公電には必ずパターンコードが記される。このパターンコードに従って、本省は公電を配付する。パターンコードを見ると主管する課、扱っているテーマ、公電の配付範囲がわかる。重要なのは配付範囲で、Eとすれば担当官と課長にしか行かない。Dでは他の課にも配付される。Cとすると局長までだ。Bとすると外務大臣、外務副大臣、外務政務官、事務次官に配付される。A指定だと首相にまで届けられる。在外大使館が公電を外務省以外の省庁に配付してほしいと考えるときは、「本電を財務省と経済産業省に転達願いたい」というような文言を末尾に記す。

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