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多角化もたらした覚悟の「見える化」 繊維からヘルスケアへ展開した旭化成

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今春、旭化成からユニークな新製品が飛び出した。着用型の自動除細動器「ライフ・ベスト」。貸与を受けた患者が常時着用することで、心臓の動きをつねにモニタリングし、自動的に不整脈を検出する。心室細動を検出した場合は、自動で電気ショックを与える。日本では年間6万人が突然の心臓停止で死亡しているという。同製品を着用すれば、こうした命の多くが救われる。

常時着用し心臓の動きをつねにチェック。電気ショック機能も持つ「ライフ・ベスト」

旭化成は総合化学大手の一角の座を占めているが、主力事業は何かと問われて答えられる人は多くないだろう。食品包装の「サランラップ」や住宅の「ヘーベルハウス」は誰もが思いつくブランドだが、その事業内容は実に多岐にわたる。

創業期の旭化成はレーヨン(人造絹糸)とアンモニア合成でスタートした。戦後、繊維産業の衰退を予見して、繊維メーカーの多くが事業の多角化に舵を切った。帝人、ダイワボウホールディングス(HD)、日清紡HDなど、どの企業も多角化によって危機を脱し、今日の隆盛を築いた。中でも、日本の経済成長の流れをそのままなぞるかのように、1960年代に石油化学(ケミカル)、70年代以降には住宅、エレクトロニクス、医療・医薬(ヘルスケア)といった事業を次々と開花させてきた旭化成は、ひときわ目立つ存在だ。

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