たばこ対策をめぐり、財務省と厚労省の見解が割れている。財務省はたばこを税源と見なし、税収を優先する。一方、厚労省は欧米並みの喫煙率削減を模索している。国の方針が固まらない以上、日本はたばこ後進国の汚名から逃れられない。
昨年12月26日、厚生労働省は不本意な結論を下していた。健康増進の数値目標を設定した「健康日本21」の中間見直しの専門部会で、喫煙率の削減目標を盛り込むことを断念したのだ。「昨年後半から、たばこ側の政治圧力が強くなった」と厚労省の武見敬三副大臣は言う。
実は2000年にも同じことがあった。「健康日本21」を策定するための中間報告では、喫煙率の削減目標が盛り込まれていた。
しかし、これにたばこ農家を支持者に持つ自民党の農林族が激しく反発した。鈴木宗男氏や松岡利勝氏などの強面代議士が、たばこ業界などと連動して規制強化への反対運動を展開。厚労省の役人が自民党の農林部会などで吊し上げられる場面もあった。結局、「健康日本21」を決める検討会では、多数決によって数値目標は見送られることとなった。ある関係者は「委員は、(農林族に屈した)厚労省の根回しに従った。政治力の差だ」と振り返る。
たばこ対策に本格的に取り組む政府が、喫煙率の数値目標を決めるのは少しもおかしいことでない。アメリカやイギリスでは、喫煙率半減を達成して、肺ガン患者減少に成功している。なぜ日本では猛烈な抵抗に遭うのだろうか。
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