「たばこにも効用がある」「発ガンのメカニズムは解明されていない」…。ひとたび、日本に目を向けると、流通する情報は世界と様変わりだ。日本たばこ産業(JT)と医学者の関係からその構造を浮き彫りにする。
「たばこ産業は長年にわたり研究および報告書の作成を支援してきた。このような活動に従事する研究者は、たばこ産業がその結果をマーケティングに直接用いることができない場合でさえも、たばこ産業に対し見せかけ上の信頼性を提供する」
世界医師会の勧告
喫煙はガンや脳疾患など重大疾病の主要な原因となり、ニコチンは麻薬並みの依存性を持つ――。前出記事にあるようにWHO(世界保健機関)などによる喫煙の健康被害の情報は、今や欧米ではストレートに国民に伝わり、各国でたばこ対策が急速に進んでいる。
米フィリップ・モリスなど欧米たばこ会社の妨害工作も、昔に比べれば影を潜めた。1990年代の内部告発や訴訟での実質敗訴で、たばこ会社がいかに喫煙の有害性やニコチンの依存性を隠してきたかがバレ、社会からの信用は地に落ちたからだ。今や、海外ではたばこ会社自らが喫煙の健康被害を公に認めている。
ところが、日本は違う。日本たばこ産業(JT)は訴訟に無傷で、今も「リスクはあるが、喫煙と重大疾病の因果関係ははっきりしない」との主張を貫く。このJTが発信する情報と、WHOや厚生労働省による情報が入り乱れ、日本国民は正常な判断を下すことを妨げられている。
そう思わざるをえない、いくつもの事実がある。
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