ようやく実家を処分した。それでも最後に残るのが、実家近くにある先祖代々が眠る墓の処遇だ。
東京都内に暮らすある40代男性は、父親の代で生活の拠点を山梨県から東京に移した。父親の実家があった地域に親類縁者はいない。山梨県には、先祖代々受け継がれ、一昨年亡くなった父親も眠る墓だけが残る。今は母親を連れ車で2~3時間かけて墓参りに行くが、お盆の時期はひどい交通渋滞にはまる。「将来的には墓を都内に移したい」と男性は言う。
自宅近くへの墓の引っ越し(改葬)を考える人がここ数年増えている。厚生労働省の調査によると、2012年度の改葬は7万9749件。前年度に比べ4%の増加だ。
改葬トラブルは事前相談で回避
墓やお骨を勝手に移動することは墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)で禁止されている。各自治体で書面の名称や手続きの順序にバラツキがあるものの、基本的には記事末尾に掲載した「改葬(墓じまい)の手順」に従えば、法律にのっとって行うことができる。
墓には寺が運営する寺院墓地と公営の霊園、民営の霊園、地域の共同墓地がある。改葬に当たって注意したいのは、現在の墓が寺院墓地の場合だ。手続き上、「改葬許可申請書」に墓の管理者である寺(宗教法人)から署名・捺印をもらう必要があるが、ごくまれに100万円など高額な離檀料を要求されるケースがある。遺族の代わりに故人を供養し、檀家からのお布施や寄付で経営が成り立っている寺にとって、檀家が離れていくのは大きな痛手だからだ。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら