多くの地方都市が市街地の空洞化に直面する中で、居住者の流入に成功した富山市。そこには規制に頼らず、街の魅力を高める施策があった。
人が動くのは楽しい、おいしい、おしゃれ
富山市
富山市最大の繁華街、総曲輪(そうがわ)。2年前に夫と子ども二人とともに、近くのマンションに引っ越してきたという30代の女性は「中心部は子ども向けのイベントが多く、子育てにもいい。将来は親が住むことも想定して購入した」と話す。
富山市の中心市街地では2008年度から人口流入が続く。近年、年間100戸ペースで供給されるマンションは、いずれも完売状態だ。
富山市は公共交通を活用した街づくりで知られる。06年JR西日本の鉄道を引き継ぎ、市がLRT(次世代型路面電車システム)を整備。09年には中心部の回遊性を高めるため、路面電車の環状線化も進めた。車社会の富山にあって郊外へのこれ以上の拡散を防止し、中心部を歩いて暮らせる街に変える狙いがある。
駅から半径500メートル、バス停から同300メートルを居住推進地区と認定。この地区の戸建てやマンション購入には1戸につき50万円の補助金を出す。マンション建設事業者には1戸当たり100万円(上限5000万円)。中心市街地に住む人たちを優遇する政策だ。05年に始まったこの制度によって、今年3月までに1417戸が中心部に住み始めた。
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