7月に発表された空き家820万戸は序章にすぎない。このままでは列島が廃墟と化す可能性がある。
日本海に面した福井県越前町。かつて漁業と観光で栄えた町は今、深刻な空き家問題に直面している。
町内の空き家は2013年末で556軒。問題はその半数が、越前海岸に集落が広がる旧越前町に集中することである。
旧越前町にある玉川地区では、59軒のうち26軒が空き家として放置されている。05年には近隣区で9戸を全焼する火災が発生したこともあり、区長を務める桝谷桝一さん(75)は、「何といっても火災が心配。日々パトロールをしているが、こうも空き家が多いと限界がある」と語る。
玉川地区の住民は8割以上が65歳以上。子ども世代は福井市や鯖江市など周辺の市町に出ていった。「昔は長男が戻ってきたものだが、もうそんな時代じゃない」(桝谷さん)。玉川地区外にいる所有者に家の維持を依頼すると、「越前の家は邪魔。うまく売り先を見つけてくれないか」と逆に頼まれる始末だ。
もちろん対策は進めている。桝谷さんは玉川地区外にいる所有者から年2000円の協力費をもらう。正月や盆に帰省することがあれば、桝谷さんのところに顔を出すようお願いする。そうしなければ、家の所有者としての責任感がますます希薄になるからだ。昨年には町、そして県外の専門家と連携し、空き家活用の検討会を開いた。現在は1軒の空き家を改築し、移住体験施設として活用するプロジェクトが進む。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら