
(撮影:尾形文繁)
「不動産向け融資の急増が潜在的にどんな影響を持つのか。われわれも注意深く見ていかないといけない」。ある金融庁幹部は気を引き締める。
今年9月に公表された金融庁の「金融レポート」にも、「不動産向け貸し出しを含めた与信の集中リスク」について注意するとの一文が添えられた。
ただこうした姿勢は「今後の過熱を注視する」のであって、現状について金融庁はほとんど危機感を持っていない。なぜなのか。
現状は危機に程遠い
第一にアベノミクス以降、不動産向け貸し出しが増え続けているものの、足元の伸び率は前年比6%程度。平成バブル期の30%超の足元にも及ばないうえ、2000年代のプチバブル期の伸び率よりもやや低い状況だ。
低成長の時代を反映し、現在、貸し出し全体の伸び率が2〜3%と低いため、不動産向けの伸びが突出しているが、「00年代との比較でさえも、日本経済の先行きに対する楽観性は明らかに低くなっている。投資が過熱する要素は減っている」というのが金融庁の見立てだ。
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