不動産コンサルタント 長嶋 修
東京都心部のマンションの価格は、所得が伸び悩む庶民には手の届かない水準に上がり、利回りも低下した。今年1~8月の契約販売戸数は1992年以来の低水準を記録している。これらをもって「今の日本の不動産市況はバブルで、やがてはじける」との論調が見られる。
しかし現状はとてもバブルとはいえない。第一に国際的な比較でわかる。ロンドンや香港の不動産価格はもっと高く、東京の2~3倍はする。アジア各国のマンション投資利回りと比較しても日本は真ん中程度だ(図表1)。第二に、今の市況は東京の一部マンションが高騰しているだけで、他のエリアの価格上昇幅は比較的穏やかだ(図表2)。
ここ数年の価格上昇は、相対的に割安に放置されていた東京都心部の不動産価格が、ほかの先進国の主要都市の水準に追いつこうとしたものだと理解するべきではないか。
価格調整は起こるが、あっても5~10%程度
ただ、いずれ価格調整は起こるだろう。東京都心にはチャイナマネーや相続税対策の資金が流れ込んできたが、円高に転じたことなどからそれらは一服している。マンション在庫が増えていることもある。ただ、価格調整が起こっても5~10%程度の下落だと思われる。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら