個人マネーが新興市場に集まっている。 注目企業の真の実力を徹底検証する。
3444億円。新興市場に上場するバイオベンチャーで断トツの時価総額(5月27日時点)を誇るのがそーせいグループだ。「多いときは同社だけで東証マザーズの売買代金の4割を占める」(いちよし証券の宇田川克己・投資情報部銘柄情報課課長)。ここまで脚光を浴びるきっかけは2015年2月、英国の創薬ベンチャー、ヘプタレスを480億円で買収したことだ。
当時そーせいの時価総額は525億円。にもかかわらず、買収額のうち200億円はみずほ銀行からの融資を受け、残りは創薬の成功報酬で支払うという離れ業をやってのけた。銀行が担保力のないベンチャー企業に巨額の融資をすることは珍しい。この大投資の決め手は、ヘプタレスの持つ基盤技術だ。GPCR(Gタンパク質共役受容体)という耳慣れない物質を安定的に創出できる、世界的にも希有な技術を持っている。
GPCRは創薬の対象となる物質の宝庫。既存医薬の4割がこのGPCRを対象にしているといわれる。そーせいも「どれか一つの物質で共同研究ができれば」(田村眞一社長)という気持ちでアプローチしていた。ところが一転、100%子会社化に踏み切る。たいへんな冒険だが、今となっては英断というほかない。事実、ここ1年半足らずの間にヘプタレスはアストラゼネカ、リジェネロン、ファイザー、ノバルティス、テバと世界的な大手製薬会社と次々に共同研究契約を結び、成功報酬の一部を得たものもある。アラガンにはアルツハイマー病新薬の候補物質を導出している。
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