【産業天気図・鉄鋼】旺盛な需要で各社絶好調、コスト高も価格に転嫁で「晴れ」

粗鋼生産は2003年度は1億1098万トンと13年ぶりに1億1000万トンを回復し、2004年度に入ってもフル生産が続いている。
 昨年から、自動車や造船、電機など国内製造業向けや中国などアジア向けの輸出が回復していることに加え、2004年度には企業業績の回復による設備需要の増加で建築向けが回復。公共投資の削減が続く土木向けのみが唯一の不調要因だが、全体としては文字どおりの絶好調を享受しているのが現在の鉄鋼業界だ。
 2004年度の特徴は、需給の逼迫を背景に、価格の改善が一段と進んできていることだ。昨年末から今年初めに行われた大手サプライヤーと高炉メーカーとの2004年度価格交渉でも、メーカー側の要求がほぼ通った。
 交渉前の状況を振り返ると、鉄鉱石や原料炭など主原料については、大幅な値上げを行うことで決着。さらに原料スクラップ、ニッケルなどの非鉄も上昇。業界全体では7000億円ものコスト上昇要因となり、この上昇分をどう吸収するか、がメーカー側の心配事だった。
 そのため、自動車をはじめとする主要ユーザーとの価格交渉は難航が予測されていたが、ふたを開けてみると、需給逼迫を超えて「常時、200万~300万トンの注文を断らざるをえない」(JFEホールディングスの宮崎徹夫副社長)という“玉”不足が生じているのが現実。
 さらに、2004年9月中間期までの間に、需給動向を反映しやすい輸出価格、国内市況品価格、ヒモ付き価格の順で値上げが浸透。自動車など大口ユーザーの一部を除いて、原料高分の価格転嫁は終了したうえ、さらに価格の改善が進展しており、採算は急速に向上している。
 2004年度下期も、中国経済のハードランディングなど不測の事態を除けば、「不安な要素は見当たらない」(新日本製鉄の藤原信義常務)状態。高炉メーカーにとっては、自動車向けなど国際価格に比べて割安な分野で、どこまで値戻しが実現できるかが焦点になっている。
【野口晃記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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