Paul Ormerod●英国のエコノミスト。ケンブリッジ大学とオックスフォード大学で経済学を修めた後、『エコノミスト』誌で経済予測に携わる。1992年までヘンリー予測センター所長を務めたほか、ロンドン大学、マンチェスター大学で客員教授として教鞭を執った。
不透明な現実経済の視界が一気にひらける
評者 北海道大学大学院教授 橋本 努
最新のネットワーク理論を紹介しつつ、不透明な現実経済を読み解いた快著である。視界が一気にひらけるような読後感がある。
著者はキャリアの最初、経済統計の分析道具を使って英国経済の行方を予測する仕事についていた。ところが予測は当たらず、やっていることにうんざりの日々。星占いのほうがよく当たることに気づいたという。
何かが根本的におかしい。世界の仕組みを理解するためには、分析の基本たる合理的経済人を疑うべきではないのか。モデルを作って最適解を求めても、現実は複雑すぎて役立たない。ネットワーク化された人間関係が重層化して、思うように政策の効果が上がらないのである。
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