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『金融危機とバーゼル規制の経済学』 書評レビュー 『揺れる大欧州』など

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金融危機とバーゼル規制の経済学: リスク管理から見る金融システム
金融危機とバーゼル規制の経済学: リスク管理から見る金融システム(勁草書房/394ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

みやうち・あつし●お茶の水女子大学客員教授。1958年生まれ。東京大学教養学部を卒業。日本銀行に入行。米カリフォルニア大学バークレー校留学、IMF(国際通貨基金)出向。日銀考査局、信用機構局参事役、金融機構局上席考査役などを経て、横浜支店長、決済機構局長を歴任。

金融規制は試行錯誤 玉石混交に陥る

評者 BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎

十分な規制をせず、欧米の大銀行を野放しにしたから、世界経済を揺るがすリーマンショックのような危機が生じたと考える人は多い。確かに大銀行の強欲さには、非難すべき点も少なくない。しかし、規制が不足していたから危機が生じた、というのは本当か。

日本銀行で長く金融システムに携わってきた著者が、世界金融危機の真相と今後のあるべき金融規制を説く。誤った金融規制の導入が欧米の大銀行を極端なリスクテイクに走らせたのが真相と言う。直近の論争までカバーされ、関係者は必読だ。

低利を背景に米国で住宅ブームや企業買収ブームが生じ、資金調達のためサブプライムローンなどが膨張、それを元に証券化商品が乱造され、ブーム崩壊と共に危機が訪れたと一般的には解説される。真の因果関係は逆で、大銀行の証券化商品へのニーズが高まり、その組成のためにサブプライムローンなどが粗製乱造されたのが実態だ。

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