日本貿易振興機構 アジア経済研究所地域研究センター 岩崎葉子氏に聞く 『「個人主義」大国イラン 群れない社会の社交的なひとびと』を書いた

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イランのアパレル産業を研究する著者が、その独特の商慣習とともに、極めて平穏な市井の人々の生活を描く。今まさに火を噴く中東情勢の中で平穏??と頭を混乱させつつ読みだすと、そこにはしたたかなイランの人たちが闊歩していた。

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──まず初歩的な質問ですが、イランもアラブの一部なんですか? 

別です。ざっくり言えば、中東はトルコ語を話すトルコ人、アラビア語を話すアラブ人、ペルシャ語を話すイラン人から成っています。外からだと一緒くたにされがちですが、言語体系がまるで違うんです。ただアラブ人とイラン人は文字が同じで文化も近く、互いに借用語も多いから、ちょうど日本人が中国人と漢字で筆談して、何となく意味を察することができるのに似てる感じかな。

私が赴任していた2009~11年の間にちょうど「アラブの春」が勃発し、次々と政権が転覆していった。当時西側では、その波はイランにも波及するとまことしやかに喧伝されていたんですが、それは非常に起こりにくいと個人的には思ってましたね。というのは、あれはアラブ世界の話だから。アラブの春にイラン人がどれほどシンパシーを抱くかというと、対岸の火事以外の何物でもないだろうなと。もちろんまったく影響なしではありませんでしたが。

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