中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール)教授 杉浦宣彦氏に聞く 『JAが変われば日本の農業は強くなる』を書いた

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60年ぶりに農業協同組合(JA)の改革が決まった。むしろJAが強くならなければ、改革本来の目的の「食と生活を支える日本の農業」に変わることはできないという。

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今回のJA改革ではほとんど何も変わらない

──JA改革で何が変わるのですか。

実態的には全国農業協同組合中央会(JA全中)にしろ、流通を担う全国農業協同組合連合会(JA全農)にしろ、ほとんど変わらない。もともと全中は農業の衰退とともにそうとう力が落ちている。農業従事者が人口の何%に激減しているなどと考えなくても、農業を営んでいない准組合員のほうが正組合員よりはるかに多く、金融ビジネスで生きている地域JAが多いのが現実だ。実情は、JAは本当に「本来のJA」なのかという状態になっている。

その状況の中で、JA全中が監査機能という強力な指導力を持っているのはけしからんとして外した。だが、そんな指導力はとっくの昔になくなっている。監査機能はずっと以前に分化し、それを法律上正規の形で分離するだけのうえ、従来も地域JAは独立していた。地域JAへのアンケートで全中に指導されて方針を変えたことはあるかと質問したら、99%はなかったと答えている。

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