「全国からの意見を集約すると、将来に対する不安と合意内容に対する怒りが非常に大きかった。しかしそんなことを言っている場合ではない。息の長い政策を皆さんとともに作り上げていきたい」 11月6日午前。永田町の自民党本部で開かれた農林水産戦略調査会と農林部会の合同会合は、10月に大筋合意した環太平洋経済連携協定(TPP)に備えた対策を議論する重要な場所となっていた。
しかし、そこに出席した全国農業協同組合中央会(JA全中)の会長・奥野長衛の口から出た言葉はTPP大筋合意に対する批判ではなかった。反対に、冒頭のような自民党との協調を訴えかける内容が続いた。
数分で意見陳述を終えると、まばらな拍手が鳴った。「そうだよな、対話路線だもんな」と失笑混じりにつぶやく傍聴人もいた。もっと大筋合意内容を批判してくれると期待していたのに、肩透かしを食らった様子だった。
今年の通常国会で、JA全中を“解体”する改正農協法が成立した。これにより2019年9月までにJA全中が実施していた会計監査を廃止、地域農協には公認会計士監査を義務づけ、設置形態を現行の農協法上の中央会から一般社団法人に転換することが正式に決まった(図1)。
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