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コメ大規模化神話の「うそ」 水田の構造改革に欠けた視点

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TPP(環太平洋経済連携協定)合意で高額な枠外関税を維持し、「聖域」としてトコトン守られたコメ。だがもちろん、コメの置かれた状況は安泰とは程遠い。

稲作は日本の農地面積や農業経営体数のざっと半分を占めるが、2013年度農業総産出額での構成比は21%にすぎない(1955年度は52%)。にもかかわらず、国が支出する主な補助金は野菜167億円、畜産571億円に対し、コメは4717億円とケタ違いに大きい(15年度予算)。べらぼうな関税で国境を守られていてもなお、止まらぬ需要減退によって国内稲作農家の経営は成り立たない。国の補助金でなんとか生き永らえている構図だ。

そんなコメの市場に、足元でちょっとした異変が起きている。生産調整(減反)の一環で生産数量目標の配分を開始した04年産以降で初めて、15年産の作付面積が政府の生産数量目標を下回ったのだ。最大の要因は「飼料用米などへの転作が拡大したこと」(農林水産省穀物課の長峰徹昭課長補佐)。15年産の主食用米作付面積は14年産に比べ6.8万ヘクタール減少したが、飼料用米、稲WCS(発酵粗飼料)の作付面積は反対に5.4万ヘクタールの増加となった。

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