60ページから農業や食材、外食などの各論に入っていくが、その前に基礎知識を補給しておこう。
Q1 そもそもTPPとは何なのか
TPPは環太平洋経済連携協定の略称。関税の撤廃にとどまらず、知的財産や原産地規制、紛争解決などを含めた、アジア太平洋の経済統合を目指す包括的協定だ。
TPPは、米国や豪州などが加わった2010年3月からの拡大交渉が本格的なスタートに該当する。当初は11年11月を合意時期の目標としたが、大筋合意に至ったのは今年10月。各国の利害関係が複雑に絡み合ったため、妥結は遅れに遅れた。
たとえばバイオ医薬品のデータ保護期間をめぐっては、新薬開発に強い米国と後発医薬品(ジェネリック医薬品)を活用したい豪州、チリ、ペルーなどの対立が長期化。乳製品の貿易では、競争力の強いニュージーランドが国内市場保護を求める米国や日本、カナダに大幅な輸入拡大を求めて交渉が紛糾した。
13年7月から正式に交渉参加した日本のスタンスは、競争力の弱い農業は保護する一方、工業分野の関税撤廃や日系企業の海外進出を後押しする投資・サービスの自由化、通関手続きの迅速化、著作権保護などを追求するというもの。農業では特にコメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の重要5項目を「聖域」とし、関税は原則撤廃とするTPPの対象から除くよう求めてきた。
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