脳科学者 茂木健一郎氏に聞く 『記憶の森を育てる』を書いた

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意識とは何かを考え続けてきた著者は、今の第3次ブームの人工知能にはまだ人工意識は宿らないという。

記憶の森を育てる 意識と人工知能
記憶の森を育てる 意識と人工知能(集英社/304ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──タイトルの「記憶の森を育てる」とは?

コンピュータの記憶(メモリ)と人間の脳の記憶とはずいぶん違う。脳の記憶を表す言葉として「記憶の森」は合っているが、コンピュータの記憶にはそぐわない。記憶の森を育てることは人間にしかできない。

膨大なデータを記憶するのはコンピュータがやってくれる。だが、「森」は有機的にさまざまなことを育む。たとえば枯れ葉が腐葉土になって、その土地が次の世代の木を育てる。そういう循環はコンピュータにはできない。

──意識を「記憶の連続性を自分という軸で抽象化したもの」とすれば、記憶の森は具体的には人格やパーソナリティになるのですか。

それらが積み重なって記憶の森が育ち、社風や風土になる。人工知能にはパーソナリティがない。社風に相当するような独特のスタイルや価値観は人工知能ではできない。そこも人間の領域として残っている。

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