目前に迫ったマイナンバー制度の導入で最も不安視されているのが、個人情報の取り扱いだ。内閣府が2015年7月に行った世論調査で、制度への懸念としていちばん多かったのが、「マイナンバーや個人情報の不正利用により、被害に遭うおそれがあること」と、「個人情報が漏洩することにより、プライバシーが侵害されるおそれがあること」。二つ合わせて7割を超えており、共に今年1月時点の調査よりも比率が上昇した(図表1)。
懸念の高まりと関係しているのは、15年5月に発覚した日本年金機構での情報流出事故だろう。不正アクセスによる個人情報の流出件数約125万件(対象者は101万人)という事件の発生を受け、9月3日に成立した改正マイナンバー法では、マイナンバーと基礎年金番号の連結を延期する事態となった。
8月21日に検証委員会から出された報告書によれば、年金機構が最初のサイバー攻撃を受けたのは今年5月8日。公開メールアドレスに対し、「『厚生年金基金制度の見直しについて(試案)』に関する意見」という件名のメールが送信された。これを機構職員が開封、記載リンクを踏んだことで使用端末が感染し、外部との不審な通信が始まった。
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