増え続ける奨学金の未返済問題にも光明となるか──。
マイナンバー制度の導入を機に構造問題から脱せる可能性が見えてきたのが、日本学生支援機構の運営する奨学金制度だ。
今や同奨学金は学生の4割が利用するようになった。だが昨今は卒業後に非正規労働者となる者が増え、奨学金を返済できず自己破産に追い込まれる例が続出している。
学生支援機構の奨学金は2種類ある。第一種は無利子だが条件が厳しく、毎月の貸与額は最大6.4万円。有利子の第二種は同最大12万円で、一種より条件も緩い。その結果、一種と二種の貸与比率は1:2.8で二種が主流となっている(図表1)。
日本の奨学金の回収率は国際的に見ても決して低くなかった。だが、学生支援機構の未返納額が400億円に及んだため、一部で問題視されるようになった。ここで機構は十分な周知期間を設けずに、回収をサービサーに外注化した。その結果、電話による督促、ブラックリストへの記載など、厳しい取り立てが始まった。未返納者たちが返済できるのに返さないのか、返済余力がなく返したくても返せないのか、そうした分類もせずに回収は断行された。自己破産の増加だけでなく、保証人にまで回収の手が伸び、社会問題化してしまった。
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