山田昇はほっとしたに違いない。6月26日に開かれたヤマダ電機の株主総会。社長の山田は厳しい表情で壇上に立っていた。15年3月期の業績は大幅な減益。5月末には不採算店の大量閉鎖が明らかになった。
「ROE(自己資本利益率)も1.8%まで下がっているし、ファンドによる株買い占めの問題もある。社長は総会に向けてそうとう準備していたようだ」とヤマダの関係者は明かす。当然叱責が飛ぶと予想していただろう。
ところが質問はゼロ。わずか30分ほどであっけなく終わった。
00年代にすさまじい勢いで成長していたヤマダ。だが今はその勢いを完全に失ってしまった。トップである山田は何を見誤ったのか。過去の発言や08年に自ら筆を執った『ヤマダ電機の礎』(非売品)などを基に検証する。
検証1 収益力の低下
「徹底した『ローコスト経営』が実現できており、だからこそ値段をリーズナブルな価格にしてお客様に販売しても利益創出を図ることができる」(『ヤマダ電機の礎』)
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