「こちらの商品は『価格さん』よりも安いですよ」
東京都内の大手家電量販店。店員は手に持ったスマートフォンに目をやり、大型液晶テレビを目当てに訪れた男性客にささやいた。
「価格さん」とは、価格比較サイト「価格ドットコム」のことだ。サイト内で欲しい商品を検索すると、販売価格の安い順にネット通販(EC)業者が並ぶ。家電量販店の店頭では、客がスマホなどで価格ドットコムの最安値を見て店員と価格交渉するのが日常茶飯事になっている。
しかも最近は店員自ら、価格ドットコムの最安値よりも安いことをアピールする姿が見られる。家電量販店の現場ではもはや無視できない存在だ。
とはいえ、価格ドットコムを運営するカカクコムはアマゾンのように自ら商品を仕入れて販売しているわけではない。収益はサイトに価格を掲載するEC業者への課金によるものだ(図表1)。
EC業者はカカクコムの書類審査や面談を経て問題がなければ、価格ドットコムに情報を掲載することができる。課金方法はクリック課金型と成約手数料型の二つで、業者が選ぶ。クリック課金型は客が価格ドットコムの店舗情報ページをクリックしてEC業者の自社サイトに移動した場合、EC業者が1クリックごとに10~50円を支払う。成約手数料型は送客した消費者が商品を購入した場合に、金額に応じた手数料が発生する。
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