「このままではすべての産業で日本が負けかねない、という危機感がある」 経済産業省・商務情報政策局情報経済課長の佐野究一郎氏はこう語る。経産省は5月21日、「CPSによるデータ駆動型社会の到来を見据えた変革」と題する報告書の中間取りまとめを発表(図表1)。CPSとはサイバー・フィジカル・システムの略で、AI(人工知能)技術により実世界から得られたデータを分析・解析し、その結果を実世界にフィードバックする仕組みをいう。
グーグルはまさにこの「CPSによるデータ駆動型社会」の分野で覇者になりつつある。同分野には製造工場や車・交通、スマートハウス、医療・健康、インフラなど、ビッグデータ時代のあらゆるビジネスチャンスが眠っている(図表1)。
前ページまでのとおり、グーグルはAI技術を核にあらゆる産業で主導権を握ろうとしている。佐野課長は今回出した報告書について「グーグル狙い撃ちではない」とするが、すでに携帯電話では米アップル、グーグルに主導権を握られたという苦い経験がある。AI技術の国別特許出願件数で見ても、日本は大きく後れを取っている状況だ(図表2)。世界では米GEなどの存在感も大きいが、この先、国家の仮想敵としてグーグルが設定されているのは間違いないと見ていいだろう。
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