自民優勢の総選挙、実は波乱要素もいっぱい 盛り上がりに欠けた選挙戦、結果はどう出る?
だがこれが、うまくいくとは限らない。山梨入りした安倍首相は、「せっかくだから」と2区(富士吉田市、都留市等)の堀内詔子氏のところにも応援に訪れた。これがかえって堀内氏の足をひっぱることになりかねないという話になっているのだ。自民党関係者はこう述べる。
「2区は無所属の長崎幸太郎氏と自民党の堀内氏との闘い。民主党の候補は出ていないので、これまで民主党のコアな票は動いていなかったが、安倍首相が山梨2区に入ったことに反発した民主党の票が、長崎氏に流れる可能性が出てきた」
長崎氏は二階俊博総務会長の「秘蔵っ子」。11月29日に開かれた長崎氏の決起大会に、二階氏も参加している。「次に勝てば小選挙区で2連勝になり、自民党復党も可能」」と見る長崎氏は、報道によれば堀内氏をややリード。もし民主党の票が入ればまさに、瓢箪から独楽ということになる。
一方で民主党は、選挙戦後半になって盛り返しを見せた。
応援に大活躍の蓮舫氏
7日、安倍首相が応援に駆け付け、中野駅北口で行われた松本文明氏の街宣は大盛況だった。だが民主党も負けてはいない。10日夜、長妻昭氏(東京都7区、中野区・渋谷区)が蓮舫氏を招いて同じ場所で街宣した。
長妻陣営は2012年の衆院選でも同じ場所で街宣している。この時も蓮舫氏が参加したが、駅前で立ちつくす蓮舫氏に有権者は当初、無視を決め込んでいた。そのうちに1人の若い女性が蓮舫に握手を求め、それをきっかけに人が集まるようになったが、2012年の衆院選で民主党への大逆風は、自他ともに「民主党の人気者」と認める蓮舫氏にも容赦なかったのだ。
当時の状況と比較すれば、今回はかなりマシといえる。最終日の13日に中野駅南口で行われた街宣では、有権者の反応はかなり良く、長妻氏への声援や拍手が飛んだ。逆風の2012年の衆院選でさえ、長妻氏は松本氏に約2万票の差を付けて小選挙区で勝ち上がっている。それを考えれば今回、さらにリードを広げる可能性もある。
「これからも長妻さんと一緒に仕事をさせて下さい」。この時、絞るような哀願調で聴衆にそう訴えていた蓮舫氏はその3時間前、大宮駅西口で木箱に乗ってこう言った。
「これからも枝野さんと一緒に仕事をさせて下さい」。民主党・枝野幸男幹事長の埼玉県5区(さいたま市の一部)は、自民党の重点区。幹部を次々と投入し、枝野氏を追い落とそうとしている。蓮舫氏は、その防戦のために応援に訪れた。
「枝野さんは自民党に嫌われる、安倍首相に嫌われる。嫌われたらどうなるかというと、『帰りには必ず大宮に寄れ』と指令が出るという記事を読みました。そうやってターゲットにされる。とても怖い」
長くないフレーズで言葉を切り取るのが蓮舫氏の演説方法。聞く人の耳に残りやすくするためだ。
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