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信仰的良心の結果 "蛮勇"指摘は筋違い 後藤健二氏がシリアに行った本当の理由

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イスラム国が処刑した後藤健二さんの行動に批判的な意見がある。だが、彼はクリスチャンとしての良心に沿って行動したのではないか(時事)

過激組織「イスラム国」による後藤健二氏の殺害をめぐって、ピントがずれた議論が展開されている。筆者が強い違和感を覚えたのが、2月4日の高村正彦自民党副総裁の発言だ。高村氏は、〈後藤健二さんが外務省から昨年9月以降、3回の渡航自粛要請を受けたにもかかわらず、中東の過激派「イスラム国」の支配地域に入り殺害されたことに「真の勇気でなく、蛮勇とも言うべきものであったと言わざるを得ない」と述べた。党本部で記者団に語った。/高村氏は、後藤さんがイスラム国の支配地域に入る前に「自己責任だ」と述べたことに触れ「個人で責任を取りえないようになることもありうる」と指摘した。〉(2月4日「日本経済新聞」電子版)

この考えの延長線上にあると思われるが、2月7日、外務省が新潟県在住のフリーカメラマンに旅券返納を命じた。7日午後にカメラマンが食事を終えて帰宅すると、自宅のアパート前で呼び止められた。〈名刺から、うち2人は外務省の職員とわかった。残りは警察官のようだった。/部屋の中で20分ほど、「渡航をやめてもらいたい」「行きます」との押し問答が続いた。外務省旅券課の男性事務官が、A4用紙2枚の返納命令書の読み上げを始めた。法律の本から旅券法の条文を示し、「この条文によって強制返納となります」と通告してきた。/事務官は「応じなければ逮捕もありうる」と告げた。杉本さんは「少なくとも3度は聞いた」。活動を支援してくれた人や母親の顔が浮かび、返納に応じた。受け取った返納命令書は6日付で、返納期限欄には手書きで「7日午後7時40分」とあった。〉(2月9日「朝日新聞デジタル」)

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