再エネ接続問題「経産省は古い発想を捨てよ」 飯田哲也氏に日本の政策の問題点を聞く 

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系統ワーキンググループで接続可能量を決める際にも、過去30年の原発の平均稼働率を前提として原子力の枠取りをしようとしている。「脱原発依存」の政府方針、国民総意に反するだけではない。より深刻なのは、ITの技術革新で日本が乗り遅れたように、エネルギーの技術革新においても、世界の潮流に乗り遅れてしまいかねないことだ。

これら「三層構造」の原因があるため、表面の制度的問題の解消だけでは片付かない。

――再エネ導入の制度設計で先行した欧州の教訓も十分生かされていない。

日本が最初に導入したRPS(電気事業者に対し、一定量以上の新エネルギーによる電気の利用を義務付ける制度)であれ、FIT(固定価格買取制度)であれ、欧米には技術や知識、議論の膨大な蓄積があるのに、そうした知的コミュニティから日本の役所全体が切断されている。だから、ゼロからのスタートにならざるを得ない。イタリアやスペインでのバブル崩壊の教訓も生かされていない。

2年程度で担当者がコロコロ変わる役所文化も関係していよう。また、経産省の再エネの担当者は熱心にやるが、省庁内では再エネが本流ではないので孤立している。そうしたいろいろな要因が絡まりあって、お粗末な状況を生んでいる。

事業者側の問題点とは?

――再エネの事業者サイドの問題点は。

まず一気に(太陽光発電導入に)走ったのは不動産系の人たちだ。それから商社やリース会社など、利にさとい業者が土地の囲い込みを行い、かなり乱暴な設備認定に走った。これらを法律できちんと縛ることができればよかったが、民主党政権は役所をコントロールするガバナンス(統治能力)がなかった。だが、経産省と一体の自民党政権下で制度設計をしていれば、よりひどいものになっていたかもしれない。

再エネには地域のオーナーシップが大事だ。外部資本が土地を囲い込んで、自治体は地代や固定資産税だけを手にして何も考えないというのは、地域社会のあり方として好ましくない。地域の人たちが再エネの担い手となる場合は、外部資本が植民地的にやる場合に比べ、20年間にわたって倍ぐらいの収入が期待できる。

地方自治体があまりに無策なので、吉野ヶ里遺跡にメガソーラーを作ろうとしたり、湯布院で反対運動が起きたり、混乱が起きている。一人当たりの風車密度が世界で最も高いデンマーク(国内に約6500基)などは、土地利用に網をかけて、風力発電の適地を絞り込んでいる。だから、風車が景観を汚しているとか、騒音がうるさいとかの反対運動がほとんどない。

――今後、制度面などでどのような見直しが必要か。

「三層構造」の原因をそれぞれのレベルで解消していかねばならない。制度運用の改善については、系統ワーキンググループで議論されている(出力抑制などの)対処療法も必要だが、もっと先を見据えた制度改正をすべきだ。そのためには、先行した欧州での問題の改善策を学ぶため、欧州ときちんと協力協定を結んだほうがいいだろう。

中国で2005年ごろから風力発電が爆発的に伸びたのは、02年ごろからドイツやデンマーク、スペインの政府の経験者や研究者が中国政府と一体となって制度設計を行ったためだ。

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