【産業天気図・住宅・マンション】マンション市況底入れも、中小デベロッパーには厳しい環境続く

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 一方、郊外部では現在、パワービルダーの2500万円前後の戸建分譲がブーム状態で、住宅市場は2極化が鮮明になって来ている。このため、年収700~800万円クラスのファミリー層向け物件の欠乏を歎く声も聞かれる。

こうした状況は11年に入っても続きそうだ。中小デベロッパーへの銀行のプロジェクト融資は依然抑制されていることに加えて、強まる立地選好を背景とした都心の用地物色も限定されてきているためだ。ただ、税制などの政策支援は弱まるとはいえ、基本的に継続される。また各社とも手持ち用地の中から、販売出来そうな物件を出す工夫を凝らすことから供給戸数は今年を上回るが、大幅な増加は難しい。

この環境の中、業界大手の11年3月期の住宅部門の業績はようやく上向く気配だ。主要各社の同部門の営業利益を見ると、三井不動産は今期180億円(前期実績125億円)、住友不動産が300億円(同196億円)、野村不動産が140億円(同107億円)、大京が125億円(同90億円)と軒並み増益の見通し。
 
 なお大手のうち、三菱地所は自社の住宅部門と傘下の藤和不動産を11年1月1日付けで統合し、新会社「三菱地所レジデンス」をスタートさせる。初年度である12年3月期の営業利益は65億円程度とやや慎重な見方をしているが、「早期に300億円にしたい」(八木橋孝男社長)と目標を定めている。
(日暮 良一=東洋経済オンライン)

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