集団的自衛権より、靖国参拝のほうが危ない

中国きっての分析家がみる歴史問題のリスク

「いくら問題を抱えていても、首脳会談はすべき」と語る、中国社会科学院日本研究所副所長の楊 伯江氏(撮影:尾形文繁)
11月中旬に行われた日中首脳会談。それによって日中の関係性はどのように変わったのだろうか。中国社会科学院、日本研究所副所長の楊 伯江(ヤン・ボーチアン)氏に聞いた。

 

――11月の日中首脳会談を前に両国が発表した4つの合意事項は、きわめてあいまいな内容でした。

それでも両国の関係は一歩前進したとみている。中日は複雑な関係にあり長期的な課題をたくさん抱えている。しかし、首脳会談が実現したことで、事務方が突っ込んだ話をするための時間的余裕ができた。

中国側としては、対日外交だけでなく外交、戦略全般を大局的に判断した結果だ。いくら問題を抱えていても、首脳会談はしたほうがいい。ウクライナをめぐってもめている米ロもそうしている。

アジア太平洋協力会議(APEC)首脳会議という場の性格もあった。APECは多国間で経済的な問題を議論する場であって、政治や安保がメインテーマではないので首脳会談をやりやすかった。そして、そもそも中国が安定した対日関係を求めていたということもある。中国の一人当たりGDPはまだまだ低く、経済発展は重要な課題だ。その達成のためには日本をはじめとする近隣国の協力が必要なのだ。

関係の悪化に歯止めがかかった

――領土問題については、日本も中国も主張を変えていません。11月29日には、尖閣諸島周辺の日本領海に中国の公船が再び入りました。

釣魚島(尖閣諸島)の主権については、それぞれの主張がある。(公船の侵入も)中国からすると差し支えない行動という判断だ。

領土問題についてはっきりした進展がないことに、両国国内にはそれぞれ納得できないという声がある。しかし、今回の合意がなかったら首脳会談は実現できなかった。とりあえず関係のさらなる悪化に歯止めをかけたことが重要だ。

いわば戦時から平時に移行した現在は、落ち着いた気持ちで話し合いができるようになった。今後はあいまいなところを徐々にはっきりさせながら協力関係を模索することになる。もともと国際関係、外交関係とはそういう複雑なものだろう。

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